忘れない

自分への忘備録として更新します。その2

 「年賀状を出したいが、故郷から避難した人の住所がわからない」。自らも原発事故で福島県外に避難した友がつぶやいた。3世代の家族で、毎年100枚を超す賀状が届いていた。その友は続けて、「今のわが家にも届かないのだろうか」と。
実際は、郵便局に移転先を届け出ていれば転送されるが、彼が年賀状について気をもんだように、夏や秋には思いも寄らなかった新たな心配事を、友から相談される。
震災から9カ月が過ぎた。英語の「LIFE」には(1)生命(2)暮らし(3)人生、などの意味がある。「生命」はあるが、明日の「暮らし」をどうしていくか。さらには、今後の「人生」をどう開き、勝利していくか。今、被災者は正念場にあり、励ましを必要としている。
東北に不忘山という名峰がある。この山を含む蔵王連峰は、平安の時代に「人忘れずの山」(古今和歌六帖)と詠われ、『枕草子』には「忘れずの山」と記された。忘れないという真心が慈悲に通じる。
被災者を思い、「年忘れ」という言葉を、今年は封印したいと思う。年を越しても、被災者の闘いは続く。今こそ、試練の渦中にいる友へ確たる希望の光を届けたい。そして、共々に「冬は必ず春となる」の勝利劇を綴っていきたい。
灰鰤で投稿
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