電気自動車のカーシェアリング

 平成21年は、国内メーカーによる電気自動車プラグインハイブリッド車の本格的な量産・市場投入が開始されました。一方で、電気自動車等は、現在のところ価格が高く、個人が購入しにくい状況にあります。このため、電気自動車等を普及、定着させる方法の一つとして、近年、自動車の所有に比べ安価な費用負担ですみ、買い物や送迎などの利用が多いカーシェアリング用の車両として電気自動車を導入する事例が増えてきています。

 環境省では、平成21年1月から平成21年7月に実施して「次世代自動車等導入推進事業」において、電気自動車を37自治体等の102部署に対してカーシェアリング方式で貸出・管理を行い、公用車として利用するなどの実証利用を行いました。このほか、電気自動車の普及に積極的な神奈川県は、レンタカー企業2社と提携して、平日は県の業務用に、週末は一般ユーザーが両社からそれぞれ電気自動車を借りて使うことができる「EVシェアリングモデル事業」を平成21年9月から実施しています。こうした先進的な取り組みは、大阪府箕面市、東京都荒川区など多くの地方公共団体に広がりつつあります。また、民間事業者においても、電気自動車を利用したさまざまな取り組みが始まりつつあります。例えば、あるマンション管理会社においては、マンション住居者に対し電気自動車を共同で使えるシステムを提供するといった事業を展開しています。

  海外に目を向けると、2007年に開始したレンタサイクルシステムである「ヴェリブ(velib)」が交通手段の一つとして定着したパリでは、ヴェリブの自動車版である「オートリブ(autolib)」を2011年9月より運用開始することになりました。具体的には、パリ市内700か所を含む1,400か所に充電施設を備えた発着ステーションを設置し、4,000台の電気自動車を運用する大規模な事業となる予定です。また、使用した電気自動車の返却は、借りたステーションと別の場所でも可能とするとともに、貸出料金も30分で4〜5ユーロ(約490円〜610円)程度であるなど、多くの市民に使いやすいシステムとなっておます。

 こうした電気自動車を用いたカーシェアリングが普及すると、渋滞の緩和、排気ガスや二酸化炭素の排出量削減に大きな効果が見込まれます。さらに、リチウムイオン電池は、まだ量産効果が出ておらず効果ですが、今後、電気自動車の市場投入と普及によって低価格化が進めば、電気自動車を用いたカーシェアリングを導入する地方公共団体や企業がさらに増加するとともに、自動車を所有するのではなく、機能を利用するという新たな価値観が定着することも期待されます。

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