何を言ったかではなく、どう行動したか

私への防備録として更新します。

 吉田松陰は、体当たりで青年を触発する人であった。松下村塾では、塾生たちに「教授は能はざるも、君らと共に講究せん」と語り、長机の中に分け入って談論。ある時は食事を共にし、外に出て一緒に運動することもあった。講義の内容も自由自在。全国を歩いた冒険譚、海外渡航に挑んだ武勇伝……。彼が語る赤裸々な体験に、皆が魅了された。

 塾生の大半は、選りすぐりの秀才ではなく、近所に住む普通の若者たち。それが急速度に成長したのは、松陰が理屈で「教化」したからではない。自らの姿で「感化」したからであった(一坂太郎著『時代を拓いた師弟』第三文明社)よく「子どもは親の背中を見て育つ」と言われる。言葉の綾ではないが、「背中」を見せるには、親が前を進んでいなければならない。絶えず自らが向上を目指すところに、教育の基本がある。青年の育成も同様だろう。特に、若者の感性は鋭い。先輩が〝何を言ったか〟以上に、〝どう行動しているか〟を見つめているものだ。
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